2013年03月23日

おさじ

まずは日本橋三越での展覧会、無事に終了しましたこと報告させていただきます。

慣れない場での展示に戸惑うこともありましたが、多くのお客さまのお褒めの言葉と在店にあわせて立ち寄ってくださった馴染みの皆さんの励ましのおかげで、どうにか大きな問題なく終えることができました。

お世話になった皆さまにはこの場を借りて改めてお礼申し上げます。
どうもありがとうございました。

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さて、お礼だけの記事というのも味気ないので随分と久しぶりに作例のご紹介。

ちなみに当ブログ、管理人がモノ作りのくせに制作に関する具体的な記事が少ないためか「キミ、ちゃんと仕事してるの?」なんていったお言葉をいただくことがたまにあります。今後は心を入れ替えて、もう少しマメに作例も掲載していかないといけませんね。


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というわけでお匙です。
(スプーンというよりは匙という風情かなと作者は思っています)


木の匙、得意とする作り手も多く、優品も数多くあるものですし、また難度の高い仕事でもあるので、あえて自分が手がけることもないだろうと考えていました。

ただ木のうつわの取扱いについてお話する際、金属製カトラリーの使用はお控えになるようご案内する(つまり木製をオススメする)のですが、カトラリーは別途ご用意くださいね、などと言わなければならないのは、木工職としてはなんとも居心地が悪いとも思っていました。

そこで一念発起、重い腰をあげてひとつ作ってみることに。

どちらかというと不純な動機で着手した仕事なので、姿形も自分の好み優先の勝手なものにしてしまった感がありますが、おもしろがって手にとってくださる方がいたら嬉しいですね。

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それにしてもやはりカトラリーというのは難しいものです。

普段はいったん定めた形に頻繁に手を加えることは慎むようにしているのですが、この匙については作るたびにどこかしら見直しているように思います(ほんのわずかずつではあるのですが)。

すでにお求めいただいている数少ない皆さまには申し訳ないのですが、もうしばらくの間はしっくりくる形を探る日々が続くことになりそうです。

posted by nakoji at 22:44| 作例

2012年02月22日

うつわ更新

先に予告しておりました通り、本館サイトの【作例】-【うつわ】の画像をいくつかまとめて更新いたしましたのでお知らせさせていただきます。

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上の画像は先日の展覧会に出品いたしました二段のお重です。こちらの品の別画像も掲載しておりますのでどうぞご覧くださいね。

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日常生活の中で使用するものを作っている以上、お使いくださる方からのお褒めの言葉に勝る喜びはないというのが個人的な思いではあるのですが、一方で幅広い立場の方々にご覧いただく貴重な機会と考えて公募展などに出品したりすることもあります。

ただその意義については、新しい形状や技法を試みるきっかけとして、あるいはつい平板になってしまいがちな日々の制作に新鮮な緊張をもたらしてくれるものとして考えているのであまり現実的な結果を求めてはいないつもりなんですが、それでもごくマレに過分な評価をいただけることなどがあると(普段小さな工場にこもってジミ〜な作業をしている者としては)やはり励みになるものですね。

特定の展覧会に毎回出品し続けることはなかなか難しい状況ではあるのですが、今後も同様のお知らせができるよう努力したいと考えています。

posted by nakoji at 17:40| 作例

2012年02月14日

錫彩注器

先日お知らせしました通り 『テーブルウェア・フェスティバル』 に出品しました制作物が選考に通るのみならず、うちひとつはありがたいことに入賞という評価までいただくことができましたので、せっかくですからコチラでも紹介させていただきますね。

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錫蒔きの注器(片口、片口鉢)です。

片口などは一般的に「酒器」という部類に含まれるうつわかと思いますが、実は制作者がすじがね入りの下戸であるもので、「お酒を楽しむ」ための器としての使い勝手にはあまり自信を持ってなかったりするんですが・・・(もちろん単に液体を注ぐという機能性についてだけいえば必要十分なものになっているはずです)。

ただ、酒器としてではなくお料理を盛り付ける鉢としても、注器というものは食卓にリズムを加えるという点でとても魅力的なうつわだと思いますよ。実際に我が家には(晩酌などという大人びた行為を生涯でただの一度もしたことがないくせに)日常的に食卓に上がる片口がいくつもあります。

ご自宅でお酒を飲まれる習慣がない方にも、ちょっぴり遊び気分で片口などといった種類のうつわを日々の生活の中に取り入れてもらえたら嬉しいですね。

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さて、もうひとつの出品作である「丸重」もあわせて掲載したいところですが、本館サイトのうつわの作例をいくつかまとめて更新したいと考えているところでもありますので、そちらの作業が完了してから改めてご紹介しようと思います。どうぞ今しばらくお待ちください。

posted by nakoji at 09:28| 作例

2011年12月14日

MEETING TABLE

長らくごぶさたしていましたので、久しぶりに作例を紹介させていただきますね。
先日、ご依頼主にお届けしたばかりの会議卓です。

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オフィス用の什器ですので、ご覧の通りこれといったデザイン上の特徴を持ったものではありません。しいて言うなら、ご依頼主の好みに従って重量感を(というか実際の重量も)十分に備えた印象に仕立ててあるといった点でしょうか。

ただ、ご要望の一つに「移動・保管時の利便性のために分解ができること」という条件がありましたので、構造的な面ではちょっとした工夫が施してあるんですよ。具体的には「天板」、「脚」、「脚同士をつなぐ貫」という3つの部材に分解できるようになっています。

通常、家具において分解可能な構造(「ノックダウン構造」などと呼んだりしますね)をとる場合には部材の連結用に金具を使うのが一般的なんですが、今回は金具を用いることなくそれを実現する工法を採用してみました。

接合部の組み手が表面に現れないような形をとっているのは、恥ずかしながら制作者の好みを少し加味させていただいた結果でして・・・。

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個人的な思いとしては、金具を用いていない家具について、それを根拠に「優れたものだ」とするご意見には賛同する気になれないのですが(というよりはノックダウン構造などには誰にでも容易に扱うことができる連結金具を用いるのが常道かなと思っています)、今回はご依頼主のお好みやご予算、分解の頻度やその際に制作者がアフターケアできるか否かといった点を考慮してこのような構造としました。

ま、「このような類のご要望にもお応えしますよ〜」というちょっとまれな事例の一つ程度にお考えいただければと思います。

本館の【作例】-【家具】には別アングルからの画像も掲載しています。

それにしても、当方のような手狭で乱雑な町工場の一室で大きな家具の撮影をするのはなかなか骨が折れる仕事です。郊外のすがすがしい環境の中、十分なスペースをとって悠々と作業をされている同業者の方々が羨ましいですね〜。

posted by nakoji at 18:53| 作例

2011年07月31日

ようじいれ

ダジャレ好きの管理者ですが、「ようじ」といっても今回は親バカ記事ではありませんよ。

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ご覧の通りヒネリなしのようじいれです。

作例のご紹介で家具ばかり掲載しているので、うつわなどの小さなものもつくっております!ということをアピールしておこうという魂胆です。

現在は、どちらかというとご依頼をいただいて制作する家具の仕事が多い状況なのですが、それらの業務の合間をぬって自分自身が欲しい、あるいはつくりたいと思うものを手がけることももちろんありまして、そういった場合に取り組むのはこのような小品が多いですね。

スケールの小さな男とお笑いにならず、普段はひとりで動かすこともままならないほどの家具を相手にしている反動だということにしておいてくださるとありがたいのですが・・・。

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小さなものの制作においては、ある一定数量をまとめてつくることによってはじめて品質と生産性の双方を高く維持できるといった面があるので、制作に入る前段階の検討や試作といった作業により緻密さが求められるものです。

また、手にとって使われるほどの大きさの道具ですと、仕事自体にも細やかさが感じられるものでないと魅力に乏しい品になってしまいがちですから、実制作においても気を使うことが多いですね。

大きなものより小さなものの方が難度の高い仕事であるように思える点が多々あるからこそ好んで取り組むのだと主張するつもりはありませんが、少なくともボクにとっては「やりがい」という点で小品が大作に比べて劣るということはないように思われますよ。

じつはこちらのようじいれも大方の方針が固まってきたとはいえまだ試作段階のものでして、いまのところご紹介はウェブログだけにとどめておきますね。

posted by nakoji at 22:11| 作例