2012年10月18日

風のち晴れ

昨週末に開催されました「工房からの風」、無事に終えて戻ってまいりました。

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ご覧のような秋らしい爽やかな空の下、とても楽しく充実した時を過ごすことができました。二日目には傘が必要となる時間もありましたが、それを感じさせないほど多くのお客さまにご来場いただいたように思います。ボクのブースにも本当に多くの方がお立ち寄りくださり、たくさんの感想をお伺いすることができました。

このイベントを待ち望み、足を運んでいただいた大勢のお客さまはもちろん、終始細やかなサポートで支えてくださった事務局スタッフやオブザーバー作家の皆さん、たくさんの刺激をくれた出展作家の方たち、ほかイベントにかかわった全てのひとに心から感謝しています。

本当にありがとうございました。


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実は「工房からの風」当日を迎えるまでは、つくり手としてまだ実績の乏しい自分にとって、具体的な結果よりもこの半年励んだ時間と新たに得ることができた作家の皆さんとのご縁こそが最高の成果なのかなぁと考えていました。

ですが当日、多くのお客さまが楽しげに、そして時にお声をかけがたいほど真剣に自分の手がけた品に接してくださる姿を見て、それ以上に大切な何かをつかむことができたように感じています。

ほかにも同じ思いを抱いている出展者の方がいるかもしれませんが、いまは「おわり」ではなくて「あらたなはじまり」の時を迎えたかのような晴れやかな気持ちでいっぱいです。

そして、この思いをいつも忘れることなく今後の制作に取り組んでいきたいと思っています。


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   出展に際しての訓示を母ちゃんから受けるボウズ

今回もいちばん身近なところで支え続けてくれた母ちゃん、イッちゃん、本当にありがとうね。


posted by nakoji at 13:26| 日々のあれこれ

2012年09月02日

展覧会にて思う

『小澤基晴 加藤かずみ 二人展』  [hase:ハーゼ]@名古屋駅

昨日より開催でしたので、さっそくお二人が揃って在廊される初日に伺いました。


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骨太なあたたかみの中にひそむ洒落気、洗練された色・形におり込まれた確かな実用性、お二人の作品が静かな空間の中で調和していて、とても素敵な展示でした。

そしていつものことですがとても多くのことを学ばせていただきました。


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会期は9月8日(土)までとなっています。
ぜひ多くのひとに足を運んでいただきたい展覧会です。


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じつは小澤さん、加藤さんともに10月に開催される野外イベント「工房からの風」でご一緒させてもらうことになっていまして、そのご縁で昨日も親しくお話させていただきました。

つい数ヶ月前まで、木工分野以外の制作者と知り合う機会など全く無かったボクからすると、今まではギャラリーやうつわ店で作品を一方的に拝見するだけの関係でしかなかった方と(色々と立場は違えど)同じつくり手としてお話できるということが、楽しいながらもなんだか不思議に思えてなりませんでしたね。


今回もそうでしたが、個人制作者として活躍されている皆さんとお話する時によく感じることのひとつが、作家としての覚悟、矜持といったものが自分にいかに足りないかということです。

「作家」という呼称、つまるところ言葉の問題でしかありませんから、妙なこだわりは持ちたくないと思っているですが、手工に携わるようになって以来(今年でちょうど10年目になります)作家性というものとは縁遠い職人(工員)という立場が長かったためか、自らそう名乗るのは恐れ多いという気持ちがいまだに強いのも事実です。

もちろん、自身の名においてものを作り、他にないものとしてお届けすることを生業としているからには「揺るぎない個」としての信条と責任が求められるのは当然のことだと思いますし、お二人のように自然体でそれを感じさせるつくり手でありたいとも考えてはいるのですが・・・

活躍されている作家さんを前にして舞い上がっているようでは、きっとそこへ至る道はまだまだ遠いってことですよね〜。

posted by nakoji at 12:49| 日々のあれこれ

2012年08月15日

夏の自由工作

(1) 煮詰まる : 十分に検討、議論が尽くされて結論が出る状態になる
(2) 行き詰まる : 物事が進展しなくなる

(2) の意味で (1) が使われることって近ごろ多いですね。

それはさておき、仕事というものはどんな職種においても「考える」という重労働からは切りはなせないものです。もちろん無心に作業に没頭できることもありますが、悶々と考え込んでいる時間の方が意外に長かったなんてことありませんか?

なかなか考えがまとまらず行き詰まってしまうといった事態も誰にでもあることでしょう。とりわけ創作的な仕事に携わる人にとってはごく日常的な出来事かもしれませんね。

さてそんな時の対処法、色々あるとは思うのですが、最もポピュラーな方法は少し頭を休ませて気分転換をする、ではないでしょうか。例えばスポーツで汗を流したり、音楽や映画をじっくり鑑賞したり、友人と楽しく会食したり、お気に入りの場所に出かけて少し風に当たってみたり、などなど。

ボクの場合はなんといっても『おそうじ』なんです。
ちょっと症状が重い場合は『機械・工具のお手入れや作業場の整理整頓』 。
そしてかなり重症の時は『作業環境改善用の設備、備品の製作』となります。

あらためて並べてみると、我ながらあまりの内向性にちょっと絶句・・・。

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そんなわけで今回は「重症」に陥ってしまった場合のお話。

気分転換ですから普段手がけるモノ作りとはかけ離れたことをする方が楽しいものです。先日はご覧の通りの電気工作でリフレッシュ。とはいえ通常作業の効率化も目的としていますからそれなりにマジメに取り組みます。


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要求される機能と、材料・労力などのコストバランスを考慮しつつ、ある程度まで仕様が煮詰まったら見切り発車で(息抜きですからこのノリが大切)製作開始。

ハイ、どうにか完成しました! ↓


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検討含めて丸一日以上費やしてしまいましたが、このくらいの工事をするとなかなかの達成感です。

ところでコレ、なにかと申しますと、集塵機(木クズや粉塵を吸い取る大きな掃除機のような機械)の電源操作をリモコンで行うための回路なんです。木工ろくろの作業をする時に頻繁に隣室まで行って集塵機をON/OFFするのがひどく手間だったのですがこれでほぼストレスフリーになりました。

う〜ん、なんだか俄然ろくろに向かう気持ちが高まってきましたよ。
(気のせい?)

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制作の気晴らしを製作でするなんて妙な話に思われるかもしれませんが、例えばもの作りをされるひとにはお料理やお菓子作りが好きな方がとても多いですし、それほど珍しいことでもないのかなとも思います。

毎日毎日、「暮らしを豊かにしてくれる道具ってどんなものだろう?」なんていう容易に答えの出ない(答えなんてあるのかな・・・)問いに向きあっている者にとって、普段とは違った気持ちで何かを作るという行為は、初心を思い返す機会になったり、新しい視点を発見するきっかけになったりと心地良い刺激に満ちたものなのかもしれませんね。

ちなみに上記の電気工作などは基本的に全てロジックで成り立っているものですから、「必要な機能を最も効率的に満たす」という単純明快な目的に対して迷いなく進むことができるのが実に爽快ですし、機能が実現できたときの単純な喜びはモノ作りの根源的な楽しさと直結しているようにも感じます。つくり手の方の実用的な余技としてはオススメできる分野かなと思いますよ。自然素材のように予想外の手痛い反抗に泣かされることもまず無いですしね(笑)。

作業場には改善したい箇所が他にもまだたくさんあるのですが、夏休みの自由工作もほどほどにしておかなければマズイですから、それはまた次に行き詰まってしまった時のお楽しみとしておきましょう。


余談ながら業務中で最も行き詰まることが多いのが、ご想像通り当weblogの更新作業。文筆を職業とされている方のご苦労、さぞや大変なものでしょうね。


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※ リモコン回路の補足情報(こんな狭すぎる情報に興味ある方いるかな〜)

主な材料
 ・既製の電波式リモコン:送信機(12V電池式)+ 受信基板(要DC12V電源)
 ・AC/DCアダプター(AC100V → DC12V)
 ・汎用パワーリレー(コイル電圧12V)
 ・電磁接触器(200V開閉用)

 費用は以上の合計で4,500円ほどです。ほかに電線、接続端子類、外箱など。
 入手先などの詳細情報が必要でしたらお気軽にお問合せください。

posted by nakoji at 23:52| 日々のあれこれ

2012年07月19日

東北へ

いまさら何を、とお考えの方も多いでしょうが、「いまのうちに」あるいは「いまだからこそ」との思いもあり三陸沿岸部へ出かけてきました。

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  2006.07.06  志津川中学校より志津川漁港方面を臨む (南三陸町websiteより)

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 続きをみる ( ※ 2012.07.15時点の岩手県南三陸町での撮影画像を掲載しています)
posted by nakoji at 22:09| 日々のあれこれ

2012年06月25日

文様憧憬

コチラ名古屋でも梅雨入りして半月余りたちますが、以降それに相応しい空模様の日々が続いていますね。台風の到来などもありましたが、皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。

さて、ボクはといえばシトシトと雨の降る日が多い近頃は、それに似つかわしく黙々と取り組む地味な手作業などに気持ちが向かいがちになっています。

今回はそんな時にいつも安らぎをくれる良き伴侶(既婚なので情婦かな?)を紹介しましょう。


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    RM-120KT (KT=Kittyの略?)

スウィートでガーリーな容姿ながらも、その美声でピアノソナタから民謡、浪曲にいたるまで(基本的にNHK-FM固定なので)そつなく歌い上げる才色兼備な小猫ちゃんです。

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とまぁ、冗談は大概にしておいて(意外なほどの高音質は本当です)実家の物置で見つけたこのラジオ、ご覧のように機器全体がハローキティ仕様(笑)なんです。比較的安価な部類の品種とはいえ、可愛いキャラクターで丸ごとデコレーションされた電器製品なんて世界広しといえども日本以外ではちょっとお目にかかれないんじゃないでしょうか。

ラジオとして使えるのであれば取りあえず構わないか、といったぞんざいな理由で制作室に持ち込んだのですが、どうしてどうして、今ではお気に入りのツールになっています。

日々目にし、また時にしげしげと眺めたりしていると、製造時の時代性を物語るキレのない形状も、チープな素材感を隠すべくもないパール系の色調も、キティちゃんというキャラの持つ絶大な力のおかげで取るに足りない小さなことのように思えてしまうんですよ。

まさにキャラクターマジック・・・ ↓ こんな方がいらっしゃるのも納得です。

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    from Lady Gaga official site

このキャラクターというものが持つ力、ボクは文様(紋様)のそれと相を異にするものではないと考えていまして(異論のある方も多いでしょうが)、キティちゃんに代表されるような人気キャラクターをモチーフにした製品などを見渡してみると(3歳児と共同生活していると目にする機会も多いもので)、その紋形としての水準の高さにうなってしまうものが少なくないんですよね。

仕事がら古来の文様に対して意識的に接する機会も多いのですが、古今を並べていつも感じるのは、今も昔も変わらぬ日本人の文様化(抽象化・アイコン化・平面化)という特殊な技術についての驚くほどの能力の高さです。

歴史や社会学を修めた身ではないので、その資質の由来については見当もつきませんが、平安以来の大和絵や王朝様式の工芸品、浮世絵版画、あるいはアニメやマンガなどの現代メディア作品といった実例を思い起こせば、日本民族の抽象・平面表現の独自性は疑いようがないと思いますし、国外に熱狂的な支持者を得るのももっともなことのように感じますね。

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一方、ものつくりをする立場に戻って文様というものを考えてみますと、これをうまく用いることは技術的にも審美性の面においても相応の修練と素質が必要な仕事になりますから、「容易に手を出せるものではない」というのが多くのつくり手の本音ではないかと思います。

特に木工という分野においては素材の特性上それを取り入れるのが難しい面も多いですし、また近年では、分野を問わず文様などの装飾的な要素が加えられたものよりも素材本来の質感を端的に感じさせる造形・仕上の品が多くの方に好まれる傾向にあるため、本来文様と縁が深かった漆工の分野においても、加飾の仕事を手掛けるつくり手(特にそれを専業とされる方)は減っているように聞いています。

かくいうボクも、生業としての制作に文様的な要素を取り入れるには全くもって力不足というほかない現状なんですが、せっかくこの国に生まれ育ち、日々ものつくりに励んでいるからには(というほど大げさな動機でもないですけど)、日本文化の真髄の一つともいえる文様仕事にいつの日か挑戦してみたいな〜などとも考えているんですよ。

また文化継承といった観点からだけでなく個人的な好みからも、木工や漆工(特に実用指向の道具制作)にたずさわるつくり手の中に、他の手工分野(焼き物、染織など)の制作者や、メディア作品のクリエーターにも遅れを取らないほど巧みに文様を扱うことができる方がもっと増えたら楽しいだろうな〜などと空想したりもするんですが・・・。

ご同業の皆さん、ご検討いただけないですか?

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言葉でアレコレ述べるだけというのは潔くない気もするので、恥ずかしながら最後に拙作もひとつ紹介させていただきます。

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蒔絵、箔絵、漆絵の勉強がてら秀衡っぽくデコレーションしてみた平椀です。
ニャンコつながりに免じてどうか大らかな気持ちでご覧下さいね。

ちなみ猫の蒔絵の図案は松本大洋さんの「竹光侍」から無断で拝借したものです。
習作と言うことでコチラもご勘弁を。

posted by nakoji at 13:29| 日々のあれこれ