2012年06月25日

文様憧憬

コチラ名古屋でも梅雨入りして半月余りたちますが、以降それに相応しい空模様の日々が続いていますね。台風の到来などもありましたが、皆さんお変わりなくお過ごしでしょうか。

さて、ボクはといえばシトシトと雨の降る日が多い近頃は、それに似つかわしく黙々と取り組む地味な手作業などに気持ちが向かいがちになっています。

今回はそんな時にいつも安らぎをくれる良き伴侶(既婚なので情婦かな?)を紹介しましょう。


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    RM-120KT (KT=Kittyの略?)

スウィートでガーリーな容姿ながらも、その美声でピアノソナタから民謡、浪曲にいたるまで(基本的にNHK-FM固定なので)そつなく歌い上げる才色兼備な小猫ちゃんです。

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とまぁ、冗談は大概にしておいて(意外なほどの高音質は本当です)実家の物置で見つけたこのラジオ、ご覧のように機器全体がハローキティ仕様(笑)なんです。比較的安価な部類の品種とはいえ、可愛いキャラクターで丸ごとデコレーションされた電器製品なんて世界広しといえども日本以外ではちょっとお目にかかれないんじゃないでしょうか。

ラジオとして使えるのであれば取りあえず構わないか、といったぞんざいな理由で制作室に持ち込んだのですが、どうしてどうして、今ではお気に入りのツールになっています。

日々目にし、また時にしげしげと眺めたりしていると、製造時の時代性を物語るキレのない形状も、チープな素材感を隠すべくもないパール系の色調も、キティちゃんというキャラの持つ絶大な力のおかげで取るに足りない小さなことのように思えてしまうんですよ。

まさにキャラクターマジック・・・ ↓ こんな方がいらっしゃるのも納得です。

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    from Lady Gaga official site

このキャラクターというものが持つ力、ボクは文様(紋様)のそれと相を異にするものではないと考えていまして(異論のある方も多いでしょうが)、キティちゃんに代表されるような人気キャラクターをモチーフにした製品などを見渡してみると(3歳児と共同生活していると目にする機会も多いもので)、その紋形としての水準の高さにうなってしまうものが少なくないんですよね。

仕事がら古来の文様に対して意識的に接する機会も多いのですが、古今を並べていつも感じるのは、今も昔も変わらぬ日本人の文様化(抽象化・アイコン化・平面化)という特殊な技術についての驚くほどの能力の高さです。

歴史や社会学を修めた身ではないので、その資質の由来については見当もつきませんが、平安以来の大和絵や王朝様式の工芸品、浮世絵版画、あるいはアニメやマンガなどの現代メディア作品といった実例を思い起こせば、日本民族の抽象・平面表現の独自性は疑いようがないと思いますし、国外に熱狂的な支持者を得るのももっともなことのように感じますね。

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一方、ものつくりをする立場に戻って文様というものを考えてみますと、これをうまく用いることは技術的にも審美性の面においても相応の修練と素質が必要な仕事になりますから、「容易に手を出せるものではない」というのが多くのつくり手の本音ではないかと思います。

特に木工という分野においては素材の特性上それを取り入れるのが難しい面も多いですし、また近年では、分野を問わず文様などの装飾的な要素が加えられたものよりも素材本来の質感を端的に感じさせる造形・仕上の品が多くの方に好まれる傾向にあるため、本来文様と縁が深かった漆工の分野においても、加飾の仕事を手掛けるつくり手(特にそれを専業とされる方)は減っているように聞いています。

かくいうボクも、生業としての制作に文様的な要素を取り入れるには全くもって力不足というほかない現状なんですが、せっかくこの国に生まれ育ち、日々ものつくりに励んでいるからには(というほど大げさな動機でもないですけど)、日本文化の真髄の一つともいえる文様仕事にいつの日か挑戦してみたいな〜などとも考えているんですよ。

また文化継承といった観点からだけでなく個人的な好みからも、木工や漆工(特に実用指向の道具制作)にたずさわるつくり手の中に、他の手工分野(焼き物、染織など)の制作者や、メディア作品のクリエーターにも遅れを取らないほど巧みに文様を扱うことができる方がもっと増えたら楽しいだろうな〜などと空想したりもするんですが・・・。

ご同業の皆さん、ご検討いただけないですか?

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言葉でアレコレ述べるだけというのは潔くない気もするので、恥ずかしながら最後に拙作もひとつ紹介させていただきます。

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蒔絵、箔絵、漆絵の勉強がてら秀衡っぽくデコレーションしてみた平椀です。
ニャンコつながりに免じてどうか大らかな気持ちでご覧下さいね。

ちなみ猫の蒔絵の図案は松本大洋さんの「竹光侍」から無断で拝借したものです。
習作と言うことでコチラもご勘弁を。

posted by nakoji at 13:29| 日々のあれこれ

2012年05月30日

アツかった両日

松本より無事戻ってまいりました。

心配していた天候も2日目終了時に少雨がパラついた程度にとどまり、相変わらず天気に恵まれた野外展参加が続いております。とはいえ日差しが恨めしいほどの暑気でしたから好天とも言い切れないかもしれませんね。

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気温もそうでしたが、さすがに国内最大規模の野外クラフトイベント「まつもと」、来場者の人波もそれを受けて立つ作り手の意気込みも相当にアツかったです。初出展のボクなどはその迫力に圧倒されるほどでした(見物客としては何度も足を運んでいたのですが)。

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そんな数多くの出展者がいらっしゃる中、ボクのブースにお立ち寄り下さった皆さま、本当にありがとうございます。多くのご感想をお聞かせいただき、また実際にお求め下さったことは今後の制作の大きな原動力となることと思います。

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それから以前お世話になった方や懐かしい同輩との再会といった嬉しいハプニングもあり、総じていえば単純に「とても楽しい」2日間を過ごすことができました。これも運営関係者の皆さんのご苦労や他の出展者の方々の熱意があってのことと感謝しております。

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そうそう、事前に公言していた注意3カ条の筆頭「体調維持」は結局果たすことができず、フェア1週間程前からカゼ気味になってしまいました。お聞き苦しい声での対応となりましたこと、この場を借りてお詫びいたします。我ながら自身の未熟さに恥じ入るばかりですね〜。

またボウズや家族にも準備のあわただしさの中で様々な負担を強いてしまったことも今回の反省点のひとつですね。自身の充電も兼ねてしばらくは彼と一緒にいる時間をいつも以上にとるようにしたいと考えています。

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posted by nakoji at 21:43| 日々のあれこれ

2012年05月09日

雨の庭も

千葉県市川市「gallery らふと」での『風の予感 vol.1』展、無事終了しました。

足を運んでいただいた皆さま、ありがとうございました。

お伺いした初日はあいにくの雨天(時に豪雨)でしたが、そのような中をお出かけくださるお客さまも少なくないように思われ、感謝の気持ちとともに、秋の「工房からの風」に対する期待の大きさも感じられて身が引き締まる思いもしました。

ギャラリースタッフの皆さんやほかの出展者の方々とお話しする時間にも恵まれ、秋に向けて大きな刺激を受けることもできたので、ボクにとってもギャラリーを囲む素敵な庭の新緑にとっても慈雨といえるものだったのかな〜とも思っています。

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なお6月には引き続き『風の予感 vol.2』が開催されます。
こんどは染織や皮革といったジャンルの方も出展されるようですし『vol.1』とは違った楽しみがあるのではと思いますよ。

詳細は「gallery らふと」のサイトにてご確認ください。


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風の予感 vol.2
 2012「工房からの風」出展者の中から

6/2(土) ・ 3(日) ・ 9(土) ・ 10(日)

atelier七緒(磁器) 
今野恵(フェルト) 
瀬戸清香(金属)
竹沢むつみ(革) 
松塚裕子(陶器) 
横山正美(柿渋染)

posted by nakoji at 07:01| 日々のあれこれ

2012年04月11日

静岡より帰着

昨週末開催された『ARTS & CRAFT 静岡手創り市』無事に終了いたしました。
まずはご来場いただいた皆さま、運営スタッフや他の出展者の方々に感謝です。

4月らしからぬ寒気の中ではありましたが、幸運にも前回同様に好天に恵まれ、とても気持ちの良い環境のなかで過ごすことができました。楽しみにしていたサクラもちょうど見ごろを迎えていましたしね。

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今回は出展者の中に、以前よりお世話になっている方、初めてお会いするのだけれど経歴の上で近しい間柄にあるといえそうな方、あるいは今後のイベントでご一緒させていただく予定の方、などなどが大勢いらっしゃり、そんな皆さんとのお話しもとても楽しく意義深いものとなりました。これもまた多くのつくり手が一同に会するこの種のイベントならではの楽しみの一つと言えるかもしれませんね。

今後も同様の野外イベントに出展させていただく予定がいくつかありますので、会期が近づきましたら改めてご案内させていただきますね。

posted by nakoji at 22:24| 日々のあれこれ

2012年03月11日

なにをか思う

いまさらこのようなことをつづるなど、無用な私的感傷にすぎないということは承知しているのですが、やはり今この国に暮らすものとして3/11という日付が背負うものの重さについて思わずにはいられませんね。

この一年、自分が成すべきこと、成すことができたはずのことの中で、どれほど多くのことを成さぬままに捨て置いてきたのか、それを省みるにつけ叫び出したいような気持ちになってしまいます。

次代を生きるひとたちが今後その心に希望を育みながら進んでいけるのか、未熟な身ながらとりわけそんなことに対する責務を感じざるをえない日です。


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posted by nakoji at 21:51| 日々のあれこれ